日本のような安全な国では、あまり馴染みがないというか、そこまで気にする必要がないことですが、爆弾テロが頻繁に起こるような国、地域では「スタンドオフ・ディスタンス」を知っておくことは必須です。そのような国に行った際に現地の警護チームや警察と話をする際に「スタンドオフ・ディスタンス」と言われて「?」となっていたら恥をかくのでしっかり覚えておいてください。
「スタンドオフ・ディスタンス」は、セキュリティ用語で脅威の可能性がある人や車が建物や人に近づくことを防ぐための距離のことです。
国連でも2011年にナイジェリアの首都アブジャにある国連ビルに爆弾を積んだ車が突っ込み、国連職員18名が亡くなるという悲しい事件が起こりました。当時は警備が今ほど強固でなく、車が建物のすぐ近くまで入れたことが被害の大きさにつながったとされています。この事件後、スタンドオフ・ディスタンスの重要性が認識され、建物にまっすぐに突っ込むことが出来ないように石のブロックがジグザグに置かれ、しっかりとしたセキュリティ・チェックポイントを設けたことで十分なスタンドオフ・ディスタンスを保てるようになりました。
・Abuja attack: Car bomb hits Nigeria UN building (BBC)
アメリカのNational Counterterrorism Center(NCTC)にStandoff Distanceを分かりやすくまとめた表があるのでぜひ参考にしてください。
アメリカのFederal Emergency Management Agency(FEMA)の「Explosive Blast」も英語ですが、爆弾による爆風の衝撃について書かれていてStandoff Distanceについて知るのにとても為になります。
出張先の国や地域のトレンド(傾向)を分析することで、どういったリスクが高いのかが分かります。それをもとに、どの程度のスタンドオフ・ディスタンスを取れば良いか割り出します。アブジャの国連ビルは、石のブロックを設けることで車両が猛スピードでビルに突っ込むことを防げるようになったと書きましたが、スタンドオフ・ディスタンスは石のブロックだけでなく、壁(塀)やゲート、ボラード、バリケード、セキュリティ・チェックポイントなどでもその距離を確保することが可能です。ホワイトハウスの庭に池や噴水が設けられているのは、見た目だけでなく侵入者が直接ビルにアクセスできないようにすることで勢いを殺す役目も兼ねています。ニューヨークの国連本部の事務局ビルの前に噴水があるのも同じ理由です。
テロのリスクがあるような国や地域では、特に長時間滞在することになるホテルで十分なスタンドオフ・ディスタンスが取れていない場合、変更する必要性も出てきます。
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