日本で「トラウマ」と聞くと精神的外傷のことを思い浮かべる人が多いと思います。確かにトラウマには、そういう意味もあります。戦争に行った兵士が戦場から帰ってきても、心の傷を回復できないでいるPTSD(Post Traumatic Stress Disorder)は日本でも認知されています。
しかし、「トラウマ・センター」はどうでしょう。日本では、まだ一般にまで認知されていないような気がします。トラウマの上記の意味しか知らない場合には、精神病院的な施設を想像してしまうのではないでしょうか。
トラウマには、精神に限らず「外傷」という意味もあります。つまり、トラウマ・センターは、外傷患者に総合的な緊急医療サービスを提供する施設のことなんです。
ボディガードがクライアントを緊急で病院に搬送するシチュエーションにはいくつかのパターンがあります。高齢のクライアント、持病があるクライアントであれば、外傷以外で病院に行くことも考えらます。しかし、交通事故であったり、つまずいて転んだり、足を踏み外して階段から落ちたりといった外傷が理由の場合が圧倒的に多いです。
その為、ボディガードは、常に現在地から近い病院がどの程度の外傷の治療が出来るのか知っておく必要があります。日本では、銃で撃たれるということは現実的ではありませんが、国が変われば銃で襲われることも想定しておかないといけません。転んで擦りむいた程度であれば、どこの病院でも対応が出来ますが、射創の場合はそれなりのレベルの病院に行かなければ処置をしてもらえません。
日本にはないシステムですが、アメリカではAmerican College of Surgeons (ACS)という組織で外傷治療のレベル分けをしています。州によっては、5段階のところもあるようですが、通常は3段階でLevel 3から始まり、Level 1が最高のレベルとなっています。州名とTrauma Levelで検索すれば、その州内の病院がトラウマ・レベルごとにリストされて出てくるので、わざわざ病院に問い合わせなくてもその病院が対応できるレベルがすぐに分かりとても便利です。アメリカでボディガードをすることになった際や海外のボディガードと一緒に仕事をする際に、「トラウマ・センター」や「トラウマ・レベル」について知っていると仕事がスムーズに進むので頭の片隅に入れておいてください。
トラウマ・レベルの指定がない日本でも、ボディガードはどこの病院にどの程度の設備があり、どこまで治療が出来るのかを理解しておく必要があります。これを怠ると、クライアントが重度の外傷を負った際に戸惑うことになります。
なお、アドバンスはチーム内で病院の情報を共有する際はホームページに載っている住所ではなく、緊急外来の入り口がある場所を共有します。電話番号も緊急外来直通の番号が入手できれば、これ以上のことはありません。
クライアント・インタビューの際に、クライアントにかかりつけの医師や病院の確認、血液型、アレルギー、常用薬について確認も忘れてはいけません。
病院選びもアドバンス(先着警護)の大事な仕事なのですが、クライアントを病院に搬送する可能性は限りなく低いと勝手に決めつけ軽視をして、きちんとコンタクトを取らずにホームページに載っている情報のみをチームと共有しているところもあるようですが、病院選びはとても重要なことなので手を抜かずにしっかり調べるようにしましょう。
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