先日、テレビを見ていたらイスラエルで訓練を積んだという「ボディガード」の方が出演されていた。ボディガードがどんなことをするのかという紹介VTR内で、カジュアルなハンバーガーショップで食事をするVIPに同行するシーンがあったんです。
カジュアルなハンバーガーショップなので、お客の9割がカジュアルな服装でVIPもカジュアルな服装でした。そんな中、ボディガードの方はかっちりスーツを着ていました。
警護といっても色々なテクニックがあり、警護を際立たせることで犯罪を抑止にするテクニックもあります。しかし、基本は目立たないのがベストだとされています。英語だとよく「ブレンドイン」という言葉を使います。「ブレンドイン」とは、環境に馴染むことを意味しています。
ボディガードは、事前にVIPのスケジュールを入手して、服装のことも考えないといけないのです。いつも何も考えずにダークのスーツを着ていればOKではありません。
上の写真は、2019年に横浜で行われたアフリカ会議でのシーン。こうした会議にカジュアルな恰好で参加する人はいませんので、当然ドレスコードはダークなスーツになります。
次に上の写真を見てください。こちらの写真は、2017年にヨルダンの難民キャンプでVIPがメディアのインタビューを受けている場面です。この時の私の服装はスーツではなく、「タクティカル」とか「フィールドドレス」と呼ばれるカーゴパンツにシャツという服装でした。VIPもワイシャツの上にセーターというカジュアルですし、この環境でダークのスーツを着ていたら逆に浮いてしまいます。
時としてドレスコードがあり、環境に適した服装でない服を着ないといけないこともあります。
しかし、「プロ」のボディガードなら事前に行先を調べ、そこではどんな服装をすることがその環境にマッチするのか、そしてVIPの服装も予測して対応するものなのです。
テレビの番組制作上の都合などもあり、急遽ハンバーガーショップで撮影をすることになったのかもしれません。でも、もしそうだったのなら、番組内で一言そのことを話してほしかったです。
まだまだ一般的な職業ではないボディガードは、あまり情報が出回らないので、テレビでこうした間違ったことを、それが当然のように流されてしまうと大きな勘違いを生んでしまいます。
「ボディガード」と言うと、多くの人が耳に透明のアコーステックコイルチューブ(以下、「無線コード」という)を付けている恰好をイメージするようですが、チームと連絡を取る為につけている無線コードすらも、滞在する環境下でボディガードの存在を強調させてしまうのであれば隠したりします。
一流のボディガードとは、銃の腕がすごいとか、格闘技の達人とかよりも、どれだか環境にブレンドインが出来るかの方が重要だと私は考えています。
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