国連警備隊では、色々な警備・警護訓練を受けることが可能です。ニューヨークの本部所属の人のみを対象にした訓練もあれば、世界中にある国連の警備隊に所属さえしていれば受けられる世界共通の訓練もあります。
Close Protection Officer Course (CPOC)/Revised Close Protection Officer Course (R-CPOC)は、その名の通り国連警備隊でも警護を専門としている人を対象としたコースで、ニューヨーク本部所属だけでなくフィールドミッションで働くセキュリティオフィサーたちも受けることが出来ます。ニューヨーク本部で選抜試験を受け、そこで優秀な成績を収めれば、国連事務総長、その家族、国連副事務総長、国連総会議長の警護を担当する警護チームに所属することが出来ます。しかし、この選抜試験だけではハイリスクなエリアでの警護任務や、チームリーダーをすることは許されていません。つまり、国連で「真」の警護官と認められるにはCPOC/R-CPOCを取得する必要があります。
CPOC/R-CPOCは、これから警護官を目指す人へのコースではなく、既に十分な経験を積み、知識と技術を備えている人のみを対象したコースです。 CPOC/R-CPOCはただ受ければ良いだけの「訓練」ではなく、Pass or Fail、つまりコース最終日に合格であればそのまま所属先に戻り警護を続けることが許され、失格だった場合は警護の任務から解かれる生死を決めるコースです。そのため、国連警備隊の中では、「最難関」のコースだと言われています。
CPOC/R-CPOCは、過去に数度イラクで開催されたことがありましたが、これまで開催されたコースの大半はルーマニアの首都ブカレストで行われています。私も雪が降る寒い冬のブカレストでこのコースを受けました。
コースは約20人の受講生に対して、ほぼ同数のインストラクターが受講生を「監視」します。インストラクターたちの無言の鋭い視線、時としてクビをひねったり、インストラクター同士でコソコソ話すのを見て、受講生たちは常に自分のことを話しているのではないかと疑心暗鬼になります。CPOC/R-CPOCは、課題への達成度も高いレベルを求められますが、それ以上にストレスマネージメントに焦点が置かれています。ハイリスクエリアでの警護任務やチームリーダーには、重度のプレッシャーやストレスがかかります。その環境下でも正常な判断と行動が取れるかを見極めるためにこのようなスタイルが取られています。
CPOC/R-CPOC本科受講生は、ルーマニアでの本科を受ける前に、各所属部隊で事前に体力と射撃技術の予備選抜試験を受けさせられます。そして、その結果はルーマニアの指導官たちに送られているので、指導官たちは受講生の体力や射撃能力を理解しています。※この体力と射撃の予備試験は、来年から始めるYouTubeチャンネルで動画にしてそのうち紹介したいと思っておりますので楽しみにしていてください。
本科のスケジュールは、月曜日から土曜日までの週6日間、毎朝7時から12時までの5時間は水泳、クロスフィット、マラソン、武道など、とにかく体力消耗させることに費やされます。指導官は、課題の提示はしますが、全て試験の一環なので、たとえ生徒が手を抜いていたとしてもいちいち声がけをすることも、叱ることはありません。しかし、自分に甘く、人の目がないところで手を抜くような受講生は最終的にFail(落第)となります。CPOC/R-CPOCでは、受講生自ら高い目標を掲げ、その目標に向かい日々努力をすることが求められるのです。
午前中に体力を削られた受講生たちは、わずかな昼食時間中に体力回復に努めます。ヘトヘトの状態だと、人はどうしても集中力が途切れがちになります。CPOC/R-CPOCではこの状況下で、いかに集中力を持続させミッションをクリアできるかがチェックされます。午後は、限りなく現実に近い環境で色々なシナリオプラクティスを繰り返します。時にはVIPが急遽深夜に外出するるというシナリオが与えられ、寝ずにミッションをこなすという訓練もありました。つまり、一流の警護官になるには、どういった状況でもその能力を発揮できる強い精神力が求めらるのです。
弊社のCCPS/CCPSWは、そういったトレーニング内容も参考にしながら、身辺警護に必要なスキルの取得と同時に、受講者の精神強化を図るカリキュラムになっております。
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