警備業界の労働時間

厚生労働省が定める労働基準法によると、労働時間が6時間を超える場合には45分以上、8時間を超える場合には1時間以上の休憩を与えることとなっています。また、時間外労働の上限についても詳しく定められています。しかし、時間外労働時の休憩のルールについては見つけることが出来ませんでした。※労働基準法に詳しい方がいらっしゃいましたら、ぜひ教えて欲しいです。

短期ではありましたが、私が東京のホテルの警備部に勤めた際、一緒に働いていた警備会社の警備員さんたちは1日2シフト制、つまり1勤務が12時間でした。私も国連本部で警備をしていたころ、よく16時間勤務をしていたので12時間勤務は特に問題だとは感じていません。しかし、12時間勤務で1時間しか休憩がないのは、問題だと思っていました。

精神科医で小説家でもある樺沢紫苑氏によると、人間の集中力には「15、45分、90分の法則」があるということです。人が深い集中力を持続させられるのは15分程度、子供でも集中力を保てる時間は45分、そして90分は大人が集中していられる時間の限界だそうです。

それなりのレベルで警備の仕事をするには、やはり常にある程度の集中力が求めれます。実際、前出の警備会社の警備員さんたちは勤務時間が終わりに近づくにつれ集中力が切れ、レスポンスが悪くなっていると感じていました。この現場には、まじめな方が多かったので1時間ごとにポストを変えることにより気持ちをリセットして飽きないようにする努力をしていましたが、それでもやはり集中力を長時間持続することは困難です。

ちなみにニューヨークの国連本部の警備は、出来るだけ高いレベルでの集中力を持続させるために3時間ごとに1時間の休憩が推奨され、ポストについているのは最長でも4時間となっていました。コロナの影響で、現在は勤務体制がかなり以前とは変わったと聞いていますが、私が所属していたころの国連警備(UNDSS/SSS)は、通常8時間勤務で2時間の休憩(休憩時間も拘束があるので給料は支払われています)があったので実働は6時間でした。

国連警備

なんども繰り返して書いていますが、日本の警備業界は慢性的な人材不足に悩んでいます。一方で現場の声を無視して、金儲けのためだけに仕事を増やす警備会社も少なくありません。そのため、現場で働く警備員さんにしわ寄せがくるのです。なかには効率的に稼げるという理由で休憩が不十分な長時間勤務を喜んで引き受ける方もいます。しかしそういう警備員は、おそらく“ただそこにいるだけ”の警備員の典型でしょう。プロ意識を持ち、集中力を保ちながら警備に従事している方ほど、こういった状況に不満を抱えているはずです。これでは、警備会社の発展は望めないと思います。

警備業界の人材不足は、警備会社自体が創りだしているとも言えます。警備業界の本当の意味での発展を考えるのなら、まずは現場の声に耳を傾け、労働環境の改善がとても重要です。


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