クライアントのイメージを守ることもボディガードの仕事の1つです。マイクロソフト社の創業者・ビル・ゲイツ氏が、1998年にベルギーのブルッセルでプランクスターによって顔面にクリームパイをおしつけられた事件がとても良い例です。(※もし見たことがなかったら、YouTubeに動画もあるので見て欲しいです)。
この事件で、被害者であるゲイツ氏は突然のことにとても動揺はしていましたが、特にケガなどはしませんでした。しかし、この様子はニュースなどで世界中に発信されてしまい、ゲイツ氏のイメージに傷がつきました。
動画を見て頂ければわかると思いますが、ゲイツ氏には警護がついていました。しかし、この警護人はゲイツ氏が1発目のパイを顔にもらい、うろたえている際も特別に焦る感じでもなく普通に対応をしていました。もしかしたら、まだ当時のボディガードは、クライアントの安全さえ護れば良いと思っていたのかもしれません。
ゲイツ氏のベルギーでの事件がきっかけで、民間のボディガードにもクライアントのイメージを守ることも大事な仕事だと認知されるようになりました。
クライアントのイメージを守ることは、クライアントの安全を護ると同等、もしくはそれ以上に気をつけないといけません。
クライアントが著名人の場合にはなおさらです。どこでだれが何を聞いているか分からないので、ボディガードは常日頃から発する言葉にも気をつけないといけません。
そこでボディガードは、チーム以外には意味が悟られない隠語を上手に利用します。
例えば、クライアントが突然の腹痛にみまわれたとします。腹痛は、人間なら誰にでも起こることなので、「クライアントは腹痛でトイレに行っています」でも特に問題はないかもしれません。
私のチームでは、大便のことを「インターナショナルコール(国際電話)」、小便のことを「ローカルコール」と呼んでいました。もともとチーム内で使っていた隠語ですが、クライアントがトイレに行く際も「クライアントは今、大事な電話中の為、少々遅れます」と言うほうが綺麗じゃないですか?
一流のボディガードは、腕っぷしよりも状況分析と咄嗟の判断がより重要な仕事だということがこのことからも分かります。
いくら強い武道家や格闘家でも、頭が悪い人や気がきかない人は一流のボディガードにはなれません。日頃から、どんなクライアントにも対応できるように、知識を増やす努力が必要です。
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