おそらく警備業従事者ではないと思うのですが、先日Twitterで爆発物を発見した警察官を模した写真を投稿されている方がいました。その写真では、爆発物のすぐ近くで無線を手にしていたのです。
専門家ではありませんが、爆発物の近くで無線や携帯電話などの電子機器は、その電磁波により爆発物を起爆させてしまう恐れがあるため使用は避けるべきだということくらいは知っています。
記憶に新しいところですと、2020年の夏ごろから日本全国各地で自治体や学校を狙った爆破予告の脅迫メールが相次ぎ問題になりました。こうした脅迫(E)メールは悪質ないたずらの場合がほとんどですが、万が一に備えなければなりません。
クライアント宛てに爆発物の恐れがある手紙や荷物が届いた場合の対応は、以前「ボディガードによる手紙/小包検査」で紹介しているので、そちらも併せて読んで頂けると幸いです。
今回は、脅迫(E)メールや脅迫電話への対応を中心に紹介したいと思います。アメリカでは、Department of Homeland Security (国土安全保障省)内の組織、Cybersecurity and Infrastructure Security Agency (CISA)によって制作された、爆発物等の脅迫メールや電話を受けた際のガイダンスやチェックリストを、CISAのサイト上から誰でもダウンロード出来るようになっています。とても役立つ情報が満載なので、英語バージョンしかありませんが、そこまで難しいことは書いていないので、ぜひチェックしてみてください。警視庁にも同じようなガイダンスやチェックリストがあるのか調べてみたのですが、見つけることが出来ませんでした。
脅迫メールや脅迫電話は、威力業務妨害容疑等の罪に問うことも出来ます。ただの悪戯だと思っても軽視せず、警察に相談することを推奨します。爆発予告の脅迫メールや電話を受けたら、警備員もしくは施設に詳しい人(エンジニアなど)は、不審物等が仕掛けられていないか目視確認(Visual Check)して周ります。その際、不審物は1つだけだとは限りませんので、1つ見つけても安心せず、引き続き他の場所もチェックしていく必要があります。また、不審物を発見しても、絶対に触ったりしないようにしてください。不審物(爆発物)の発見後は、誰も近づかないように現場を保全し、自身も安全なスタンドオフディスタンスを取ります。同時に、周辺にいる人たちに安全な場所へ避難するよう促すことも忘れてはいけません。ただ中には爆発物と聞いただけでパニックになる人もいます。パニックの連鎖により混乱が生じれば、被害が拡大する恐れもあるので、伝え方には細心の注意が必要です。そして、最寄りの警察に連絡を取る際には、携帯電話や無線の電源はオフにして、ランドライン(固定電話)を利用します。
メールや電話と脅迫に使う伝達手段は違っても、ボディガードがすることは変わりません。当然ながら、まずはクライアントの安全確保です。脅迫メールや電話がクライアントを誘き出す餌である可能性も考え、無計画のまま慌てて移動(避難)することは避けます。迅速に他の場所へ避難するにしても、慌てず慎重に行動します。慌ててもミスを生むだけで良いことはありませんし、クライアントを不安にさせてしまいます。
先にも書きましたが、爆発予告の脅迫メールや電話は日本の場合、自治体や学校をターゲットにしているものが多いので、ボディガードだけでなく各組織、学校でもこうした脅迫メールや電話があった際の対応を事前に決めておく必要があります。そして、とにかく脅迫メールや電話を受けた場合は、どんなに些細なことであっても、全て記録に残すことを忘れてはいけません。
詳細はCISAのガイドラインやチェックリストを参考にしてもらうとして、必ず覚えておくべきことは以下のようなものとなります。
まずは脅迫状と脅迫E-mailについてですが、脅迫状は中の手紙だけなく封筒からも情報が得られるので絶対に捨てず、大事に保管しておきます。Emailも同様に、間違っても消したりファイル等に移動したりしないようにしてください。
脅迫電話の場合は、脅迫状や脅迫Emailに比べて、受信者に少々対応が求められますので、誰でも最低限の対応が出来るようにマニュアルを作成しておくと便利です。相手に分からなように会話の録音が出来れば素晴らしいのですが、それが出来ない場合にはメモを取るようにしてください。この際、出来るだけ相手が言ったままの言葉を記録することが大切です。
相手を苛つかせないように気をつけながら出来るだけ会話を伸ばし、相手の名前や要求、どのような爆発物なのか、その爆発物をどこに隠したのか、タイムリミットはいつかなど、必要な情報を引き出すようにします。また声から性別、大体の年齢、訛りやテンポなど話し方の癖、外国人の場合にはアクセント等に気をつけながら話を聞きます。また相手の背景から、子供の泣き声や学校のチャイムなど特長のある音などが聞こえた場合には、出来るだけその詳細を記録するようにします。
COVID19の影響で、業績不振に陥った会社も少なくありません。こうした状況の中では、犯罪が起こりやすくなります。ボディガードは、クライアントの安全が第一優先なので、爆破予告などがあれば、実際に爆罰物を探しに行くのは警備担当者になります。しかし、万が一、警備員にこのような対応への知識がない場合には指導をする必要があるので、最低限の知識は身につけておかなければなりません。
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