「ボディガード」は英語でも通じる?

弊社は、国際舞台でも活躍できる「プロ」の警護人を育てたいと思っています。今日は、海外での「警護」の名称について少し書きます。海外で警護をするときだけでなく、海外から来た警護人と一緒に任務についた際に、色々な名称を知っているだけで、相手に与える印象はだいぶ変わるので覚えておいてほしいです。

まずは日本での警護の呼び方からおさらいをします。

テレビドラマや映画の影響で、一般まで認知されるようになった「SP」ですが、これはSecurity Policeの略で、警視庁警備部警護課所属の要人警護を担当する警察官の総称です。その認知度から、民間警護でもSPだと名乗っているところもあるようですが、警察官ではない民間人がSPを名乗るのは間違っています。

4号警備」、NHKで一度ドラマになりましたが、その認知度は残念ですがまだ一般的ではありません。

ボディガード」は、英語ですが、日本でもかなり広く知られています。ケビン・コスナー主演のハリウッド映画「ボディガード(原題: The Bodyguard)」(’92)が世界中で大ヒットしたことで「ボディガード」という言葉と職業が日本でも一般にまで認知されることになった大きな要因だったと私は考えています。私自身も、14歳の時に観たこの映画でボディガードという名前と仕事を知ることになりました。

この「ボディガード」という言葉、海外でも通じるのでしょうか? 答えは、YES、普通に通じます。

国連時代に警護の任務で色々な国に行きました。その経験上、英語圏でない国には、日本と同じように警護人のことを「ボディガード」という呼ぶ国が結構ありました。

しかし、アメリカでの「ボディガード」の意味合いは少し他の国と異なっていました。

アメリカでの「ボディガード」は、前述の映画でのケビン・コスナーもそうだったようにセレブリティの警護をする人の指すことが多いです。

プロとアマチュアの違いは、「プラン(Plan)」の有無です。プロには綿密な「プラン」があり、アマチュアは「プラン」を持たずに警護をします。

パパラッチが撮る海外セレブリティの写真によく写りこむ、ボディビルダーのような筋肉粒々の身体自慢の男たちには、申し訳ないですがプランがあるようには見えません。多くのセレブリティも派手でリッチに見せる演出の一つとして雇っているのではないかと思っています。

それなりの教育を受けたアメリカ人が好んで使う言葉の一つに「ソフィスティケート」があります。ソフィスティケート(Sophisticate)は、辞書で調べてもらえれば分かりますが、「洗練されてしゃれている」という意味です。

筋肉だけのみせかけのボディガードでは、ソフィスティケートとは呼べません。そこでプロの警護人たちは、「ボディガード」と呼ばれるよりも「Close Protection Specialist/Officer(クローズ・プロテクション・スペシャリスト)」や「Executive Protection Specialist(エクゼクティブ・プロテクション・スペシャリスト)」と呼ばれることを好む傾向にあります。

「ボディガード」と呼んでも怒られるようなことはありませんが、もしアメリカ出身のプロの警護人と話す機会があったら、ボディガードではなく、Close Protection Specialist/OfficerやExecutive Protection Specialistと呼ぶと一目置かれるはずです。 世界最大のセキュリティ専門家の為の専門組織であるAmerican Society for Industrial Security (ASIS International)では、「Executive Protection」と表記されることが多いです。

※弊社では、国際レベルのClose Protection Specialist/Executive Protection Specialist の育成を主な目的としております。本来では、「ボディガード」という言葉を使うことを避けるべきです。しかし、Close Protection Specialist / Executive Protection Specialist という言葉が一般的になるまでは、不本意ながら「ボディガード」と表記することをご了承ください。


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