英国王室御用達(ロイヤルワラント)の護身具?

2016年に人気YouTuberのHikakin氏が動画で紹介したことで、タクティカルペンは日本でも一気に護身グッズとしての知名度を得ました。日本よりも前にアメリカで人気が出たタクティカルペンは、1960年代に日本からアメリカへ移住した武道家・窪田孝行氏が発明した護身具Kubotanにヒントを得て考案されたと言われています。アメリカでは、比較的安価で購入できる上に、ナイフや拳銃と異なり全州でその携帯を合法的に認められていますので、現在でも一部の層から根強い人気を誇っています。

しかし、日本では所持することは合法ですが、特別な理由もなく常に携帯していると軽犯罪法の対象になる可能性があります。

タクティカルペンはペンという名前から分かるようにペンの機能を備えています。しかし、護身具としての剛性を得るために多くの商品が通常のペンよりもかなり太目で重めの作りになっています。タクティカルペンを知らない人であっても、その見た目からそれが普通のペンでないことは一目で分かります(その点が日本では理由もなく携帯していると問題となるようです)。重量が原因でペンとしても使い勝手が良くないこともあり、警護業界でもタクティカルペンが登場したばかりの頃は携帯する人もいましたが、今ではすっかり見かけることはなくなりました。

現在、警護業界でタクティカルペンに代わり人気なのが、英国王室御用達(ロイヤルワラント)パーカー社ジョッターです。矢羽のマークで有名なパーカー社は、1888年創業の老舗筆記用具サプライヤーで、1962年にエリザベス2世より最初のロイヤルワラントを、そして1990年にウェールズ公チャールズ皇太子より2度目のロイヤルワラントを授与しています。そしてジョッターは、そのパーカー社が1954年に発売を開始した最初のボールペンブランドで、発売初年度に350万本も売れ、今でもその人気は衰えを知らず、世界中に愛用者がいます。この歴史あるボールペンが、なぜ今更タクティカルペンに取って変わる存在になったかというと、先ずはそのスタイリッシュなデザインです。ロイヤルワラントのブランドのペンですから、当然といえば当然なのですが、そのデザインは洗礼されていてどんなシチュエーションにでも適応できます。タクティカルペンと異なり、空港の保安検査で取り上げられることもありません(もちろん普段ポケットに入れて持ち歩いても問題ありません)。多くのタクティカルペンが備えているガラスブレーカーのような機能はありませんが、ステンレススチール製のジョッターの剛性はかなりのものでタクティカルペンほどではないにしても護身に使用しても十分に耐えられるほどです。

ガラスブレーカーといえば、著者が実施に拳銃メーカーのコルト社のタクティカルペンとノンブランドのタクティカルペンを手に入れて、ガラスブレークの簡単な実験をしてみたところ、思っていたほどの結果を得ることが出来ませんでした。車中に閉じ込められた際に窓を割って脱出することだけを考えるのなら、以前紹介したResqMeの方が携帯性に優れ、それでいて効果的で実用的です。

スタイリッシュなデザインでスーツのポケットにさしていても全く問題がないジョッターは、アメリカであれば$10前後、日本でも2000円程度で購入が可能です。今回この記事を読んでくださった方で、防犯や護身目的でタクティカルペンを持ちたい、持っているという人は、書き心地に優れ筆記用具としても優秀で、持っていても絶対に軽犯罪法に問われることがないジョッターを考えてみてください。

タクティカルペンは、メーカーに関係なくガラスブレーカー側を利用した場合、ペットボトル程度の強度であれば容易に貫通してしまう完全な武器です。レスキューミーは押し付けないといけないので護身具としてあまり使い勝手がよくありません。スティンガーは先端部が少し丸みを帯びているので、頭の固い部分などだと実験同様に滑ってしまう可能性があります。使い方にもよりますが、今回の実験においてはクボタン、プラスチック製のボールペン、そしてジョッターはほぼ同じような貫通性でした。こうした結果をふまえると、法律的に問題がなく、プラスチック製のボールペンよりも耐久性が高いジョッターが護身具としては優秀だということが分かります。
人に対して使えば大きなダメージを与える凶器であるタクティカルペンですが、かなりの力でガラスを強度しないと割ることは出来ません。車中に水が入りこんで水圧がかかる状態などでは、更にタクティカルペンでガラスを割ることは簡単ではないでしょう。ガラスブレーカーとしては予想通りレスキューミーが一番効率よくガラスを割ることが出来るという結果となりました。

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